2012年6月2日土曜日

短期記憶喪失の映画:「私の頭の中の消しゴム」「メメント」: ヒロさん日記


『私の頭の中の消しゴム』という映画を見た。主人公は若年性アルツハイマーによって、短期記憶がどんどん失われていく。記憶や思い出を共有することなく、人はどのように愛を育めるのかという、半ば古典的なテーマだ。

『シュリ』と『JSA』以来の久々の韓国映画だったが、主演女優のソン・イェジンのかわいらしい、けなげな演技に引き込まれた。ソン・イェジンは日本の女優の誰かに似ているのだが、これだ、という女優がどうしても出てこない。(記憶喪失の私を誰か、助けて)

私が決して見ることはないであろうヨン・ペジュン(ヨン様)の『冬のソナタ』でも、記憶喪失を扱っていた。恋愛ドラマであれ、アクション映画であれ、記憶喪失のプロットはひとつのブームだったのではなかろうか。

記憶喪失に関す� �小説・映画・ドラマ・事件を並べてみる。


フリー野郎発熱映画
  • 1940年・・・・小説『黒いカーテン(Black Curtain)』
  • 1942年・・・・映画『心の旅路(Random Harvest)』
  • 1962年・・・・映画『銀座の恋の物語』(浅丘ルリ子・石原裕二郎)
  • 1966年・・・・小説『アルジャーノンに花束を(Powers of Algernon)』
  • 1976年・・・・ロッキード事件(証人喚問「記憶にございません」)
  • 1990年・・・・映画『トータルリコール(Total Recall)』
  • 1999年・・・・映画『マトリックス(Matrix)』
  • 2000年・・・・映画『メメント(Memento)』
  • 2001年・・・・911テロ事件(演出された記憶)
  • 2001年・・・・日テレドラマ『Pure Sour 〜君が僕を忘れても』
  • 2002年・・・・韓国ドラマ『冬のソナタ』
  • 2003年・・・・小説『博士の愛した数式』
  • 2003年・・・・映画『ペイチェック 消された記憶(Paycheck)』
  • 2004年・・・・映画『50回目のファーストキス(50 First Dates)』
  • 2004年・・・・映画『頭の中にある消しゴム』

    最初の2つは"源流"であろう。日本では他にもいろいろありそうだが、とりあえず、記憶喪失の浅丘ルリ子はかわいらしい。


    ミシェル滝の賭け

    アルジャーノンは脳手術で天才少年に成長していく物語だが、手術効果が切れて記憶が劣化していく過程はアルツハイマー型の記憶喪失そのものだ。

    記憶の空白に別のストーリーを埋め込む"洗脳"の話はたくさんあり、『トータルリコール』がその代表格か。虚構の記憶から目覚める過程を扱ったのは何といっても『マトリックス』だろう。

    今のところYouTubeでも見られる『メメント』は、短期記憶が10分以上続かない男性が主人公だ。記憶の断片的な場面をフラシュバック形式で、何度も何度も繰り返しながら、謎解きに迫っていく手法は斬新だった。

    会話のシーンがある。「そんなメモなんて当てにならない」「記憶なんてものこそ、当て� ��ならない」

    短期記憶をなくすと、覚えておくべきことはすべてメモしておかなければならない。居眠りはもちろんのこと、ふとぼんやりと過ごしながら10分が経過してしまうと、いま、なぜ自分がここにいるのか、わからなくなる。


    昏睡状態と本物が来て、見てください

    主人公は出会った人を必ずポラロイドカメラで写真をとり、写真の余白にその人物に関する情報をメモ書きする。だが、写真や筆跡は捏造される恐れがあるため、本当に大事な情報は、体に刺青で彫り付けていく。

    TVドラマ『君が僕を忘れても』は、韓国映画『頭の中にある消しゴム』の原作だ。部屋中のものにメモやポストイットを貼りつけられる場面や、綴られる手紙の数々はもの悲しい。野球の話に数論を織り交ぜた『博士の愛した数式』の場合は、短期記憶のリミットが80分になっている。

    『ペイチェック』は極秘事項の記憶消去に応じる対価として高額のお金を受け取る話から始まるSF。『50回目のファーストキス』� �は主人公の短期記憶は丸1日が限度で、彼とつきあっても毎回が初デートとなり、万が一ベッドを共にして一夜を明かしてしまうと、翌朝は「あんた誰なの〜!!」と絶叫することになる。


    記憶の問題で考えさせられたのは、「書かれたことが"意志"になっていく」ということ。メモやスケジュール手帳は単なる外部記憶装置ではあるものの、人生の大きな決断の場面や、刺青を彫るまでに刻印しようという状況では、意志そのものに変貌する。

    一方、記録されたものも同様に当てにならない。この世がいかに誤字脱字、誤解、誤訳、誤報で満ちあふれているかを思い知り、今日も謙虚に自己研鑽するべし。

    ■関連記事:
    記憶喪失の現代に問いかける、中世修道院の聖なるメモリー空間



    These are our most popular posts:

    Amazon.co.jp: シネマの記憶喪失: 阿部 和重, 中原 昌也: 本

    対象商品: シネマの記憶喪失 阿部 和重 単行本. 在庫あり。 在庫状況についてこの商品 は、Amazon.co.jp が販売、発送します。 通常配送無料(一部の商品・注文方法等を除く ) 詳細 映画の頭脳破壊 中原 昌也 単行本. 在庫あり。 在庫状況についてこの商品 ... read more

    山田孝之が記憶喪失男のラブコメ映画、花嫁候補は小西真奈美、真木 ...

    2011年10月5日 ... プロポーズする相手を忘れてしまった記憶喪失男と、個性的な花嫁候補たちによる恋愛 コメディ映画『指輪をはめたい』が、11月19日より東京・新宿バルト9ほか全国で公開 される。 同作は、2006年に『第135回 芥川賞』を受賞した小説家・伊藤 ... read more

    記憶喪失系ラブ・ストーリーのアメリカン映画「君への誓い」: 映画分析研究所

    2012年5月23日 ... 記憶喪失系映画とゆうのんは、それなりにいっぱいござります。しかし、それをラブ・ ストーリーに限定した場合 ... そこで、チョイ、記憶喪失恋愛もののマイ・ベストカルト・ スリーをば、唐突に披露いたします。 ●ベスト⇒①かくも長き不在(1960年 ... read more

    記憶喪失を扱った物語(映画や小説、漫画)でありがちな設定や展開は ...

    記憶は最後の方で戻る。記憶喪失のままでは終わらない。 事件を解決する土壇場で 都合のいいタイミングで甦る。 また、記憶を取り戻すのに協力的だった人が実は敵だっ たとか。 逆に協力者が可愛い女性の設定だと恋に落ちるとか。 記憶を ... read more
  • 0 件のコメント:

    コメントを投稿